教育系ライター「たなかくん」です。
子どもたちの成長を直に見ることができる教員の仕事。
そこでは教員の仕事ならではの達成感や充実感を味わうことができるでしょう。
それ故に小さい頃から教員の仕事に憧れを抱き、教員免許状の取得や教員採用試験の突破に向けて様々な努力を積み重ね、憧れの教員生活を始められたことと思います。
辞めたいと感じることも…。
教員の仕事は、その専門性から子どもたちの成長に向けて様々な業務をこなしています。
こうした幅広い業務は教員の仕事ならではの醍醐味とも言えますが、その反面、様々な課題により、たくさんの教員がストレスを感じながら働いているという実態もあります。
そのため程度の差こそあれ、おそらく一度くらいは教員の仕事を辞めて違う仕事に転職してみたいと考えたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
少し考える必要があります。
確かに教員の仕事ならではの過酷さもあり、時として辞めてしまいたいと感じることもあるかもしれませんが、その一方で教員の仕事ならではの魅力もあることから、なかなか決断をすることができずに思い悩んでいる教員も多いように感じています。
また実際に教員の仕事を辞めるかどうか考えることになると、今後の生活を含めてチェックするべき項目もたくさんあるため、こうした教員の仕事における進退の決断をする際には、じっくりと考える時間を設けることが重要となります。
そこで今回は教員の仕事を辞めたいと考えている方が、少しでも後悔のない自分らしい人生を選択することができるよう「明確にするべきチェックポイント」について整理し、今後の進退を考える参考にしていただければ嬉しく思います。
辞めたい理由を明確にする
教員の仕事を辞めたいと考えたならば、まずはその理由について考えていきましょう。
千差万別と言われています。
これは教育業界に限った話ではありませんが、転職者の退職理由は
- それぞれのキャリアの違い
- それぞれの職場環境の違い
- それぞれの転職目的の違い
などにより「100人いれば100通りの退職理由がある」と言われています。
また教員の仕事に限って言えば、その幅広い業務内容から教員のストレスに感じるポイントも多種多様となるため、辞めたいと感じる理由も多岐にわたると考えています。
さらには子どもたちの成長に向けて毎日の業務に取り組んでいるはずなのに、むしろ子どもたちの成長を阻んでしまう、ひいては自分の不幸となるようなジレンマも往々にして見受けられることから、教員の辞めたい理由は一筋縄ではいかないように感じています。
客観的に把握してみよう。
おそらくプライベートの事情も含めて悩んできた結果、教員の仕事に対して何かしらの不満を感じたことから、教員の仕事を辞めたいと考えるようになったはずです。
ただ教員の仕事には教員の仕事ならではのやりがいをはじめ、給与面の安定性や福利厚生の充実性など様々な魅力を兼ね備えていることから、今後の進退を早急に判断してしまうのは時期尚早と言えるため、少し時間を置いて考える必要があると言えるでしょう。
なので、こうしたテンプレートのない辞めたい理由だからこそ、まずは教員の仕事におけるGOODポイントとBADポイントを今一度、整理してみてはいかがでしょうか。
まとめ可視化してみよう。
さてGOODポイントが多い場合、このまま教員として働くのもありなのかもしれませんが、それに対してBADポイントが多い場合、少し詳しく精査していく必要があります。
ただ教員のストレスになっているBADポイントも、その対策によっては教員の仕事を辞めて転職しなくても解決できる問題もあるかもしれませんので、BADポイントの仕分けについては今後の進退を判断するためにも重要な作業と言えるでしょう。
次の3つとなります。
では、BADポイントの仕分けについて。
- 自分でどうにかできるのか
- 時間でどうにかできるのか
- 転職でどうにかできるのか
上記のポイントを参考に今後の進退における判断材料を作成していきましょう。
もしBADポイントの仕分けをした結果
- 自分で解決できそう
- 周囲に相談すれば解決できそう
- 時間を置くことで解決できそう
と仕分けすることができたならば、すぐに教員の仕事を辞めるのではなく少し時間を置いて対策を講じてから今後の進退を判断するのもありなのではないかと考えています。
例えば教員のストレスの代表例とも言える長時間労働や人間関係のトラブル。
確かに長時間労働や人間関係のトラブルは辞めたい理由になると思いますが、場合によっては少し割り切って勤務時間の調整を図る、苦手な人とは必要以上にかかわらないなど対策を講じることでBADポイントを乗り越えることができるかもしれません。
また「教員に向いていないのでは」と自信をなくしている場合も、周りの先生にアドバイスをもらいながら少しずつ研鑽を積み重ねていき、これまで上手く対応できなかった問題にも対応できるようになればBADポイントを乗り越えることができるかもしれません。
どちらにしても、すぐには乗り越えられない問題かもしれませんが、教員の仕事は年単位で職場環境が大きく変わる性質もありますので、こうした対策を行いながら時間による解決を図ることも問題解決の糸口になるのではないかと考えています。
もしBADポイントの仕分けをした結果
- 自分で解決できなさそう
- 周囲の相談では解決できなさそう
- 時間を置いても解決できなさそう
と仕分けすることができたならば、このまま教員の仕事を続けるよりも違う仕事に転職することでBADポイントの解決を図ることができるのではないかと考えています。
例えば教員の仕事の特殊性とも言える伝統主義や鍋蓋型組織。
学校教育では時間の都合をはじめとする様々な理由から、これまでの事例を重視する傾向がありますが、こうした伝統主義に縛られず、常に新しい知識や技術を導入し、変化を求める職場環境で働いてみたいというBADポイントもあるかと思います。
また学校組織はピラミッド型組織とは異なる鍋蓋型組織で構成されており、あわせて全体の調和を重んじる風潮から、教員一人ひとりの意思を大切にしたボトムアップ型の職場環境で働いてみたいというBADポイントもあるかと思います。
筆者の場合ですと、小学校教員という校種や公教育における教育観が合わないと感じたことから、高校生を対象とする民間教育への転職を経験しています。
このように教員の仕事そのものにBADポイントがある場合は、教員の仕事を辞めて違う仕事に転職してみることでBADポイントを乗り越えることができるかもしれません。
辞めたい理由を考えよう。
このように教員の仕事を辞めたいと感じた際は、はやる気持ちもありますが、今後の進退を考える上で重要な判断材料となりますので、ゆっくりと考えていきましょう。
その際は、どのような選択をするにしても多面的・多角的に考えることを忘れずに。
そしてBADポイントの仕分けにより辞めなくてもいいのではと考えたならば、上記のように教員の仕事を続けながらBADポイントを改善する対策も考えてみてくださいね。
転職の目的を明確にする
辞めたい理由を考えつつ、あわせて転職目的も考えていきましょう。
好ましい状態ではありません。
ここまで辞めたい理由を明確にするためBADポイントの仕分けを行ってきました。
ただ上記のBADポイントにおける仕分けはあくまでもネガティブな感情です。
やはり実際に辞めることになり転職活動をするとなると、転職活動における面接という高いハードルもありますし、あわせて円満に退職し、これまで築き上げてきた人間関係を良好に保ち続けるためにも、ポジティブな感情を見出すことが重要となります。
ことアメリカのビジネスパーソンを例にしますと、優秀な人材ほど、より評価や待遇の良い企業を渡り歩き、スキルアップを図るために転職を行うのが常識とされています。
本音と建前を明確にすること。
この転職目的も同様に「100人いれば100通りの転職目的がある」と言われています。
なので辞めたい理由と同様に、自分の状況を整理し、転職目的を作成することが重要となるわけですが、ここで注意しなければならないのが、ポジティブな面を明確にすること。
おそらくば転職活動における目的には転職者なりの本音と建前があると考えています。
本音については転職者一人ひとりの状況に応じて多種多様な内容になると思います。
その一例としてワークライフバランスをより良いものにするべく、結婚などプライベートの事情を鑑みた結果、勤務地を変更したいという転職目的も考えられるでしょう。
また教員の仕事は高いモチベーションを保つことが求められていますが、キャリアアップや残業代が見込めない環境下では、労働者として高いモチベーションを維持することが難しくなるため、違う仕事で働いてみたいという転職目的も考えられるでしょう。
建前については「教員の仕事を辞めてやりたいこと」に集中して考えてみてください。
ここでは一例として再び筆者の経験を取り上げさせていただきますが、筆者の場合、小学生を対象とした学校教育に向いていないと感じたことから、高校生を対象としたキャリア教育に専念したいと考え、こちらを転職目的として転職活動を進めてきました。
このように建前とも言える「やりたい仕事」を明確にしていくことで、退職願を提出する際にも、転職活動の面接の際にも、ためらわずに伝えることができると考えています。
重要なアイテムとなります。
転職活動を円滑に進める上で、建前だけではなく本音も重要なアイテムとなります。
こうした本音と建前を明確にしておくことで、転職活動における軸ができあがり、転職活動における道筋も明確になることから、迷いのない選択をすることができるでしょう。
また本音や建前を明確にすることができなければ、転職の良し悪しを判断することも難しくなるため、こうした判断材料にも活用できることから重要な作業と言えそうです。
よく分からないんだよね。
教員の中には小さい頃から教員の仕事に憧れを抱き、大学などを卒業してすぐに教員として働いていることから、自己分析をする機会が少ない場合もあると感じています。
なので、もし「やりたい仕事」を見出せない場合は自己分析をしてみてください。
その際は高校生にもおすすめしている「キャリアの考え方」を活用してみましょう。
そもそも曖昧な意味で使われているキャリアですが、その意味は2002年にD.ホールという人物により「生涯を通じた役割に関する経験の連続」と定義づけられています。
ここでの役割は具体例を挙げてみますと
- 家族上の役割
- 職務上の役割
- 友人との役割
- 地域社会での役割
といった役割が考えられます。
教員のみなさんも、これまでの人生の中で様々な役割を担い、様々な価値観や行動パターンを積み重ねた結果、自分なりのアイデンティティを確立してきたことと思います。
もし長男や長女という年上の役割を担っていたならば、教員の資質とも言える責任感の強い自分や面倒見の良い自分を見出すことができたかもしれません。
また友人との間柄で相談を受けやすい役割を担っていたならば、こちらも同様に教員の資質とも言える傾聴・共感の姿勢を大切にする自分を見出すことができたかもしれません。
ただ、いずれにしても教員の仕事を辞めたいと感じている今だからこそ、自分のキャリアは本当のところ、どのようなものなのだろうかと見つめ直してみてください。
- どのような性格だろうか
- どのような経験を積んできたか
- 自分は何を求めているか
- 自分の好きなものは何か
- 自分の得意なものは何か
こうしたキャリアを思い出しながら、あわせて上記のポイントを基に自己分析を行うことができれば、自ずと「やりたい仕事」を見出せるのではないかと考えています。
周囲の相談も忘れずに。
辞めたい理由を考える際にも言えることですが、転職目的も同様に、場合によっては一人で考えていると短絡的な思考に陥る可能性もありますので注意が必要となります。
なので、ますは家族や友人をはじめとする心理的負担を感じにくい周囲のサポーターに相談を持ち掛け、多面的・多角的なアドバイスをもらうようにしてみてください。
ただ相談しにくい内容でもありますので、少し相談を持ち掛けるのは難しいかもと感じた際には、下記に示す公的な相談窓口に持ち掛けてみるのもいいかもしれません。
- 教職員メンタルヘルス相談
- 〇〇県メンタルヘルス
- 〇〇教育委員会メンタルヘルス
今後の進退を明確にする
ここまで「今後の進退の判断に必要なチェックポイント」について見てきました。
本人の意思決定となります。
教員の仕事を辞めたいと感じてから、自分の置かれている状況を整理し、迷い悩みながらも辞めたい理由や転職目的を考え、自分なりの選択を模索してきました。
ただ、どのような選択をするにしても、様々な不安を感じることになるため、自分の選択における是非について、得も言われぬジレンマに駆られることもあるかと思います。
しかし、これだけは覚えておいてください。
どのような選択をするにしても、最終的には意思決定における覚悟が重要となります。
もし自分の選択に迷いが生じているならば、今一度、これまでの辞めたい理由や転職目的を再考し、自分らしい人生を歩むために必要な選択はどれか模索してみてください。
もし覚悟を決めることができたならば、堂々と我が道を進むことができるでしょう。
必ず後悔はあります。
これは持論ですが、どのような選択をするにしても必ず後悔は残るものであり、ならばその後悔を最小限にしていくことが、実際のところ最重要事項であると考えています。
言い換えると、その選択によってGOODポイントがBADポイントよりも上回ることができたならば、その選択は自分らしい人生を歩む上で良き選択であったと言えるでしょう。
なので、もし教員の仕事を辞めることを選択するならば、その後悔を可能な限り0に近づけるため、それに対するリスクマネジメントが必須であることを、お含みおきください。
次のようなものです。
では、教員の仕事を辞め転職することを決断した際に、注意するべきリスクマネジメント、言い換えると、転職活動における注意ポイントは次のようなものとなります。
- 転職活動のタイミングについて
- 転職活動の手順について
- 求人検索の媒体について
- 円満退職の方法について
- 失業時の対策について
このように転職活動における注意ポイントは多種多様となるわけですが、特に注意するべきポイントとしては生活費をはじめとするお金の問題についてです。
ただ、いずれにせよ、少しでも安全かつ納得のいく転職活動にするためにも、必要だと思う情報は積極的に入手し、役立ちそうなリソースは積極的に活用してみてください。
ColorfulEducationでも、転職者に役立つ情報を発信しています。
ぜひ、ご覧ください。
教員の職業病とも言える、うつ病。
うつ病の場合、決断力の低下により早急な判断は避けるべきとも言われています。
なので、うつ病のような症状が続いているならば、まずは休職をしてみてください。
今後の進退における判断は回復した後に、ゆっくりと考えていきましょう。
辞めたい感情を大切にする
「教員の仕事を辞めたい…」
子どもたちの人生を素敵なものにするために教員の仕事に魅力を感じ、教員免許状の取得や教員採用試験の合格に向けて努力を積み重ね、やっと夢を叶えたはずなのに…。
長時間労働や人間関係など様々なトラブルに悩まされ、夢を語るはずの教員が夢を見れなくなっていることに、おそらくは苦しいジレンマを感じているのではないでしょうか。
人生は一度きりですので。
なので、もし本当にどうしようもなく疲れ果ててしまっているならば、人生は一度きりですので、自分の感情に素直になり、教員の仕事を辞めるのもありだと考えています。
おそらくば、そういった状況下では、自分ではどうすることもできない状況に陥っていると思いますので、周囲の信頼できるサポーターに相談を持ち掛けるようにしてください。
また誰にも頼ることができなければ、公的な相談窓口も存在するわけですので、決して孤独ではなく、支えてくれる、支えたいと思っている人がいることも忘れないでください。
そして短くても大丈夫ですので、自分らしく楽しく笑顔で生きていくことができる人生とはどのような人生か、思い浮かぶ限り、様々な選択肢を模索してください。
時間はかかるかもしれませんが、遠回りすることが一番の近道です。
少しずつ進んでいきましょう。
教員のみなさんが自分らしい人生を歩んでいけるよう祈っています。
では、今回はここまで。
ColorfulEducation運営者:たなかくん